医療機器営業の転職活動をする上で、面接対策をしておくことは重要です。
本記事では、面接の一連の流れ、具体的な対策、そして面接官のよくある質問とその回答例について詳しく解説します。
医療機器営業の転職活動では、おおまかに以下のステップごとの準備が必要です。
- 転職サイトに登録する
適切な転職サイトを見つけ、自分のプロフィールを充実させ、エージェントと転職活動の方向性を相談しましょう。 - 職務経歴書・履歴書を作成する
自分の経歴とスキルを明確に伝えられるよう、具体的な職務内容と達成した結果を書き出しましょう。 - 面接対策をする
事前によくある質問の答えを準備したり、自分が会社にどのような価値をもたらすことができるかを考えるなど、面接の準備をしましょう。
今回はその中でも『面接対策』にフォーカスした内容を解説します。
この記事の信頼性
この記事を書いた私は、医療機器業界で10年以上の営業職経験があります。
最初の5年間は、医療機器商社に勤め、歯科クリニックでの機材の販売を担当しました。
その後、私は外資系の医療機器メーカーに移り、現在は総合病院やクリニックに人工呼吸器の提案を行う営業職を務めています。
また、5人の部下を指導するエリアマネージャーとしても活動しており、営業部の採用業務にも関与しています。具体的には、書類選考や一次面接の実施などを担当しています。
これまで多くの求職者を面接してきた経験から、面接担当者がどのような意図を持って質問をしているのか、その解説が可能です。
関連記事:医療機器営業向けのおすすめ転職サイト
✓面接が苦手な人はエージェントに相談しよう
面接の経験が少なく不安という人は「どうやって面接の練習をするのだろう?」と疑問に感じているでしょう。
最適な解決方法としては、エージェントに相談することです。
私が数社の転職サービスを利用した感じでは、JACリクルートメントがもっとも親身に練習に付き合ってくれました。
私の場合は面接前の2日間を利用して、夕方に1時間ずつ対応いただきました。面接官に好印象を与える返答を熟知されているので、本番でも非常に役立ちました。
関連記事:JACリクルートメントが医療機器の転職に強いは本当?利用者の評判、メリット・デメリットを解説!
医療機器営業の面接の攻略ポイント
医療機器営業の面接では明瞭で分かりやすい返答が、面接担当者との円滑なコミュニケーションに繋がります。返答内容は誇張せず、事実に基づいているべきです。
自分をよく見せようとする応募者に多く見受けられますが、質問を重ねるごとに自己矛盾が発生しやすいです。
特に、以下のようなポイントを理解して面接に挑みましょう。
事実に基づいて返答する
企業からの質問には「上司や同僚からの評価はどうでしたか?」や「成果を上げた経験はありますか?」のように、自己評価や具体的な実績を問うものがあります。
謙遜し過ぎる必要はありません。しかし、事実を誇張することは避けてください。
抽象的な表現は避ける
「やりがいがある」とか「社会貢献ができる」といった抽象的な表現だけで説明を終えてしまうのは適切ではありません。どのような点でやりがいを感じ、具体的にどう社会貢献をしていきたいのか、詳細に説明すべきです。面接で不採用となる応募者の中には、抽象的な表現を用いる人が多いです。
企業の調査を行う
面接を受ける企業の調査は事前に行っておくことが重要です。
特に、その企業の主要製品や企業理念について把握しておくことは、面接時のコミュニケーションを円滑にするために有益です。
医療機器営業について理解をしておく
面接に進むにあたり、応募者が医療機器業界や医療機器営業についてある程度の知識を持っていることは、円滑なコミュニケーションのためにも理想的です。
医療機器営業の面接の流れ
医療機器営業を目指した一般的な面接の流れは以下のとおりです。
- 1
エージェント経由で応募した企業が転職希望者の書類を確認し、面接へ進むか否かを決定します。
- 2
書類選考を通過したら一次面接が行われます。面接はベーシックな質問内容が中心です。
- 3
一次面接をパスすれば二次面接に進みます。ここでは、一次面接よりも詳細にあなたの専門知識や経験を評価することが多いです。
- 4
一部の企業では、最終決定前に最終面接を行う場合があります。これはCEOや他のトップ経営陣との面接であることが多いです。
上記のとおり面接に進むためには、まずは企業の採用担当者の興味を引く書類作成が必要です。
特に、職務経歴書が書類選考の大きなウェイトを占めています。面接対策前に書類作成が十分出来ているか、今一度確認しておきましょう。
参考記事:医療機器営業の転職に役立つ職務経歴書の書き方とテンプレート【採用担当者が監修】
一次面接
一次面接は、転職希望者が初めて企業と直接対話する機会で、応募者と企業が互いの適合性を評価する場です。
この段階では、採用担当者が面接官となり、候補者の基本的なスキル、経験、教育背景、そして仕事に対する興味や適性を評価します。
以下では、一次面接の主な流れと内容について説明します。
- 面接開始
面接は挨拶から始まります。これは一次面接だけでなく、すべての面接において同じです。自己紹介を含む、明るく丁寧な挨拶を心がけましょう。 - 自己紹介
応募者は自己紹介をします。自己紹介では、自分の経歴、特性、スキル、興味や目標などを明示します。 - 企業による質疑応答
面接官は応募者に対して質問をします。質問の内容は、応募者の経歴、スキル、業界知識、企業に対する理解度、志望動機など、多岐にわたります。 - 応募者による質疑応答
一部の企業では、応募者が企業に対して質問をする機会を設けています。これは企業に対する関心度や理解度を示す良い機会であり、自分がこの企業で働くことを具体的にイメージするための情報を得る機会でもあります。 - 面接終了
面接は面接官が終了を宣言し、挨拶を交わすことで終わります。数日後に、一般的にエージェントから合否が伝えられます。
この記事では、各パートごとに代表的な面接担当者と応募者の質疑応答と返答例を紹介しているので、参考にしてください。
二次面接
二次面接は、一次面接を通過した候補者に対して行われます。
この段階では、面接は通常、部門のマネージャーやチームリーダー、場合によっては経営陣によって進行されます。
二次面接では、応募者に対するより具体的な業務内容や想定エリアについての質問や確認が中心となります。
面接の流れは一次面接と同様です。
最終面接
最終面接は転職活動の最終段階であり、最も重要な面接とも言えます。
最終面接は通常、企業の上級経営陣、例えば取締役社長や部門の最高責任者などによって行われます。応募者が企業の将来的な計画や目標に適合するかどうかを評価します。
最終面接を合格すれば、オファーレター(採用通知)が発行されることが一般的です。
面接時の受け答えの例
ここでは医療機器営業の面接で想定されるシーンごとの適切な受け答えの一例を紹介します。
なお、面接官としての職務も務めている筆者が選んだ良いと感じた返答例を紹介していますが、形式的な言い方よりも、あなた自身の自然な表現の方が違和感がないということを理解しておいてください。
会話形式の場合は、以下のように色分けしてあります。
あなた(転職希望者)
企業の採用担当者
1. 面接開始(挨拶)
面接官が部屋に入ってきたら、適切なタイミングで立ち上がり、明るくはっきりと声を出して挨拶しましょう。
オンライン面接の場合には、入室が許可されたら同様に第一印象の良い挨拶を心がけましょう。
「おはようございます(もしくは、こんにちは/こんばんは)。私は佐藤と申します。本日、お時間をいただき、誠にありがとうございます。」
「佐藤様、お越しいただきありがとうございます。本日、面接を担当します株式会社XXXの田中です。本日の面接は30分から1時間を予定しております。よろしくお願いします。」
「こちらこそ、どうぞよろしくお願いします。」
応募者が無理に話しかける必要はありません。面接担当者の指示に従い、落ち着いた態度でコミュニケーションをとることが重要です。
もしも、面接に不安や緊張を感じるなら、正直に面接担当者に伝えても問題ありません。そのような会話が面接の雰囲気を和やかにすることもあります。
「面接はとても久しぶりでして、少し緊張しています。ぎこちない対応になってしまいましたら申し訳ありません。」
「いえいえ。意外とベテラン社会人の皆さんでも緊張されます。少しずつ慣れて頂ければ大丈夫です。」
『挨拶』の注意点
最初の挨拶は面接担当者にあなたの第一印象を決定する重要なポイントです。無理に笑顔である必要はありませんが、あまりにも無表情や声量が小さすぎるとネガティブな人物に映りやすいです。
2. 自己紹介
自己紹介は面接の重要な部分であり、自分自身を最良にプレゼンテーションするチャンスです。
自己紹介では、あなたの人物像やスキル・経験が明瞭かつ簡潔に面接担当者に伝わるように工夫するべきです。
医療機器の営業に繋がるスキルや、応募している企業に関連性の高いエピソードを添えることで、あなたが企業のポジションに適していることを示すことができます。
「それでは、佐藤様、まずはこれまでの経歴も踏まえて自己紹介をお願いします。」
「改めて本日はお時間をいただきありがとうございます。私は過去9年間、医療機器業界で営業職を経験してきました。大学を卒業後、検査機器のメーカーである株式会社○○に4年間在籍し、宮城県とその周辺の大学病院と総合病院の新規開拓の営業を行いました。その後の今に至る5年間は衛生用品のメーカーである株式会社□□で営業職をしております。□□では、仙台市内の医療機関の看護部向けにプレゼンテーションやハンズオンを中心とした営業活動を行っています。また、経営層や医事課に対して、当社製品に切り替えることで得られるコストメリットを提案しています。さまざまな医療機器や消耗品の専門知識を活かしつつ、顧客との強固な関係を築いてきました。そして、自身の経験を活かし、更なる成長を目指すため、現在、転職活動を行っています。本日はよろしくお願いします。」
自己紹介の始めと終わりは、特に印象に残るので注意深く行うべきです。始めには、丁寧な挨拶と必要であれば自分の名前を明確に述べます。
終わりには、「よろしくお願いします」などのフレーズで結ぶと、しっかりした自己紹介になります。
『自己紹介』の注意点
人物像が分かりにくい漠然とした表現や、具体性の無い経歴の紹介は避けるべきです。また、転職活動の目的が明確でない場合には「とりあえず早く転職したい」という内情が見透かされやすいです。
3. 企業による質疑応答
企業による質疑応答の部分は、面接の中でも特に重要であり、多くの時間が割かれるパートです。
これにより面接官はあなたのスキル、経験、動機、業界知識、そして企業の応募ポジションに適切な人材であるか判断します。
企業の面接担当者から応募者に対する質問は多岐に渡ります。そのため、想定される質問に対して、どのような返答をするか事前に準備しておくと良いでしょう。
『企業による質疑応答』の注意点
企業側からの質問にすぐに答えないといけない!と焦ってしまい、返答内容が曖昧だったり、抽象的な表現になってしまう応募者が多くいます。終始、具体性の無い返答をしているとかなりの確率で失格になります。少し間があいても構わないので、質問の意図をしっかり理解してゆっくり話をするようにしましょう。
質問:医療機器営業を志す理由
「医療機器営業を目指す理由はなんでしょうか?」
良い例
「私は以前から医学とテクノロジーに興味を持っていましたが、実際に医療機器営業をしている知人からその魅力について話を聞いた時に、より興味を持つようになりました。特に、最新の医療機器を用いて治療成績を改善する提案ができるという点に大きな魅力を感じています。これは、患者の治療効果や医療従事者の作業効率を直接向上させるための具体的な手段を提供することができ、それが患者の生活の質を改善するという最終的な目標につながるからです。」
上記の返答は良い例です。自己紹介が単なる自己主張ではなく、具体的な事例や目標に基づいているという印象を与え、説得力を持たせています。
良い例
「長時間の残業が多い現職から、家庭と両立しつつ、それでいて働きがいのある職場への転職を考えたからです。特に、妻が最近出産したことで、仕事だけでなく家庭にもしっかりと向き合いたいと強く思うようになりました。その一方で、これまでの営業経験を活かし、自己成長を続けることも重視しています。医療機器業界は、社会貢献性が高く、安定した業界であるため、私の目指すライフスタイルに適していると考えました。」
上記の返答は良い例です。転職を考える理由には家庭環境の変化も十分にありえます。それが医療機器営業を目指すきっかけになったことは説得力があります。
悪い例
「医療機器業界は安定していて給与が良いからです。現職では、休日出勤も多くありライフワークバランスが良くないため、医療機器営業を目指すようになりました。」
上記の返答は悪い例です。医療機器業界への関心が給与やライフワークバランスの改善に絞られているため、業界や仕事への真剣な理解や情熱が伝わりにくいです。また、業界や職種を選ぶ基準として給与や働きやすさが重要なことは確かですが、1つ前の返答例と違い理由が明確でありません。
質問:志望動機はなんでしょうか?
「当社を志望する動機はなんでしょうか?」
良い例
「私の志望動機は二つあります。一つ目は、御社が提供する医療機器が、多くの医療機関で利用されており認知度が高い点です。医療機器は信頼や安全性が重要だと思っています。○○の領域で業界をリードしている御社の製品を提案できるなら、非常にやりがいを感じます。二つ目は、御社のチャレンジングな企業文化に惹かれている点です。御社は継続的に新しい治療デバイスを開発し発表しています。常に新しいする風土は、私が働きたいと考える理想的な環境だと感じています。」
上記の返答は良い例です。志望動機が具体的に2つ挙げられており、それぞれについて詳細に説明されています。これにより、志望する理由が具体的であることが伝わります。自身の価値観や企業で働く環境に対する考え方が明示されていることも、面接担当者の大きな判断材料になります。
良い例
「私の志望動機は、これまでの営業経験を活かし、新たな環境で自分自身を試すことに大きな興味を持っているからです。特に、外資系の医療機器メーカーという、異なる文化とビジネススタイルを持つ御社で自分のスキルと適応力がどれほど通用するのかを見極めたいと考えています。また、自身の成長とともに、御社の成長にも貢献できると感じています。」
上記の返答は良い例です。応募者が自分のキャリアに対して積極的な意欲を持っていることを示しています。新たな環境への挑戦という点で、候補者が自己成長の機会を追求していること、または異なる文化やビジネススタイルへの適応能力を持っていることを強調できています。
悪い例
「御社の医療機器の営業はやりがいがあると思います。社会貢献ができる仕事がしたいと考えています。入社しましたら全力で頑張ります。」
上記の返答はありがちな悪い例です。具体的に何がやりがいがあると感じるのか、どのように社会貢献をしたいと考えているのかについて述べられていません。また、自身がどのように企業に貢献できると考えているかについても触れられていません。
悪い例
「御社は成果主義であり、大きな金額のインセンティブを狙えると聞きました…」
上記の返答はかなり悪い例です。確かに医療機器業界にはインセンティブを売りにしている企業はありますが、一番の志望動機にすることは自己中心的な人物像に映ります。長期的なキャリア目標やビジョン、そして自己成長の概念が無い候補者として扱われる可能性があります。
悪い例
「医療業界で働く複数の知人から御社の評価が非常に高いと聞き、私も御社で働きたいと思いました…」
上記の返答は悪い例です。あなたが会社を選んだ理由が他人の意見だけであり、自分自身で何も調査したり、熟考したりしていないという印象を与えます。
企業からの質疑応答の中で志望動機は非常に重要な質問です。下記の記事も参考にしてしっかり面接対策しておきましょう!
参考記事:医療機器営業の志望動機は?転職に役立つ効果的な例文やNG例を紹介
質問:なぜ今の会社を辞める必要があるのか?(転職動機)
「なぜ今の会社を辞めてまで転職をしようとお考えになったのですか?」
良い例
「私は10年間、現在のポジションで全力を尽くし、その間にチームメンバーの協力もあって多くの成果を達成し、同時に部下たちを育てることができました。現在、部下たちは私が引き継ぐことなく自分たちの仕事をこなすことができます。私が抜けてもチームに迷惑がかからないと判断しました。このことから、私自身が新たな環境で新しい挑戦をすることで、さらに成長することができると感じています。そのため、医療機器業界で自分のスキルを生かす新たな機会を探しています。」
上記の返答はとても良い例です。転職を考える主な動機が、自己成長と新たな挑戦のためであること。過去の職歴でのチームメンバーへの敬意や貢献について触れていることは、応募者のリーダーシップ能力が見えます。また、引き継ぎが十分に完了してから退職を熟考した姿勢は会社やチームへの配慮が見られます。全体的にポジティブな印象を与える返答です。
良い例
「私が今の会社を辞める必要があると感じた理由は、私の営業に対する考え方と現在の職場の環境との間にズレが生じたからです。具体的には、私は自分自身で営業することで、医療従事者に新しい治療方法を提案したいと思っています。しかし、会社の方向転換によりオンラインのプラットフォームを利用した提案が優先されるようになり医療従事者と直接対話する機会が減ってしまいました。そのような理由から転職することを検討しています。」
上記の返答は良い例です。営業のスタイルに関する価値観のズレは、会社の方針変更によって起こり得ます。上記の例では、具体的なズレを明示的に説明できていますので、転職理由に違和感がありません。医療従事者と対話を大切にしようとする姿勢も評価できます。
良い例
「私としてはモチベーション高く働いていましたが、海外本社の業績不振により、日本法人でも希望退職が募集されるようになりました。安定した環境で営業活動に専念しスキルを磨いていきたいと思っています。」
上記の返答は事実に基づいているのであれば良い例です。会社を辞める理由が自身のパフォーマンスや人間関係など内部的な要因ではなく、外部的な要因であることを明確にしています。次に、転職を前向きな視点で捉え、新たな環境での自身の可能性をアピールしています。
悪い例
「今の会社では給料がなかなか上がらず、福利厚生も満足できないからです。経営層への不満も多くあり、どんどん人も辞めてしまっていて…」
上記の返答は悪い例です。前提として企業の批判はあまり得策でありません。転職の主な理由として給料や福利厚生を挙げている点で問題があります。企業は、応募者が自己成長やスキル開発、そして自社での長期的なキャリアを追求していることを望んでいます。もちろん「給料を上げたい」は退職の動機になりますが、それに見合ったキャリアやスキルが無い状態で、一番の理由にしてしまうとネガティブな印象を与えやすいです。
悪い例
「正直に言うと、上司との人間関係が原因です。私たちの価値観が合わないと感じ、このままだと働くのが苦痛になってしまうからです。」
上記の返答は悪い例です。このような回答では、あなたが対人関係の問題を解決するための意志や能力が不足しているように感じられる可能性があります。また、新たな職場でも同様の問題が生じる可能性があると見られるかもしれません。
質問:現職での成功体験を教えてください。
「今の会社での成功体験や実績はありますか?」
良い例
「岡山県の○○総合病院で、ICUとHCUを含む全ケアユニットの生体モニターを当社の製品へ切り替えることに成功しました。このプロジェクトでは、県内の他の営業と協力し、地元のキーオピニオンリーダーの声を集めてニュースレターを作成しました。特に、県内でモデルケースとなっている△△医療センターの□□院長にインタビューすることができ、その内容をニュースレターに掲載したことが、○○総合病院での切り替えに繋がったと思います。この成功体験から、一人の営業担当者だけでなく、チーム全体で協力して成果を上げる重要性を学びました。」
上記の返答は良い例です。具体的な成功体験とその達成のためにどのような手段を用いたかを明確に述べています。さらに、その経験から得られた学びがあることもポジティブな印象を与えます。
悪い例
「私が担当した○○総合病院での生体モニターの切り替えプロジェクトがあります。その中で、チームワークを大切にしながら仕事を進めることができました。私は積極的に先生方に製品を提案し、その結果、病院が私たちの製品を採用するという結果に繋がりました。」
上記の返答は良さそうに見えますが、やや悪い例です。1つ前の返答例を見比べると一目瞭然ですが、この返答では、具体的な行動や達成した結果、その結果がもたらした影響について説明が不足しています。
このような肝心な詳細が抜け落ちて、全体がぼやけた返答は多くの応募者で見受けられます。具体的な行動→達成事項→結果→行動変容まであると、他の候補者と大きな差が付けられます。
「これまでに直面した困難な状況と、その状況をどのように乗り越えたか教えてください。」
質問:失敗した経験はありますか?
「現職での失敗談があれば教えてください。」
良い例
「私が担当していた病院の医事課から、コスト削減のために競合他社の安価な医療機器への切り替えが進められていました。これは私の現場フォローが不足してしまい、医療従事者と疎遠になってしまったこと原因だったと思います。
そこで、私は院内の関係者に対し、改めて関係構築に努めました。私たちの製品がどれほど患者様の治療に寄与できるか、また、その安全性や信頼性について再度理解してもらうために説明会と体験会を企画・実施しました。その結果、製品の優位性を理解していただき、院長先生からは切り替えをストップする指示が出されました。この経験から、定期的なユーザーフォローとコミュニケーションの重要性を痛感しました。」
上記の返答はとても良い例です。危機的状況において、あるいは挫折や困難を経験した場面における具体的な行動とその結果、そして得た学びを明確に述べています。失敗経験を問う質問に対する回答では、単に失敗した事実を語るだけでなく、そこから何を学び、どのように自己改善したかを示すことが重要となります。
質問:あなたの長所と短所を教えてください。
「ご自身の仕事における長所と短所を教えてください。」
良い例
「私の長所は、強い責任感を持っていることです。一度引き受けた仕事は、どんなに困難な状況であっても、最後までやり遂げることを心掛けています。人一倍の強い責任感があったので、先ほど説明したような成功体験に繋がったと思っています。
短所としては、一度に多くのことをこなそうとする傾向があることです。その結果、時折焦り、全体を把握するのが遅れることがあります。ただ、この点は自己認識しており、仕事の優先順位を決める、計画的に行動するなど、改善に向けた努力を続けています。」
上記の返答は良い例です。長所として「責任感が強い」という特性を挙げ、その長所がどのように自分の業務に寄与してきたのか面接時の定番の質問である「成功体験を教えてください」のエピソードに繋げています。また、短所についても、ただ短所を挙げるだけでなく、それがどのような問題を生むか、そしてそれに対してどのように対処しているのかを具体的に述べています。
悪い例
「私の長所は完璧主義だと思います。私はどんなことでも最良の結果を出すことにこだわります。この性格は、上司からも評価を受けています。しかし、同時にこれは私の短所でもあります。全てを完璧にこなそうとするあまり、時間が足りなくなることがあり、結果的にストレスを感じることもあります…」
上記の返答は悪い例です。完璧主義が長所と短所の両方であると述べた上で、それがストレスを感じる結果を招くと言及していることが問題です。また、この問題に対する自己改善の取り組みや意識が見られません。面接官に対して、自己改善への意識が低い、またはネガティブな印象を与える可能性があります。
悪い例
「私の長所は自分自身に厳しいストイックな性格であることです。それがあってこそ、今までの実績を出せてきたと思います…
一方、短所はそのストイックさを部下にも求めてしまうことです。管理職としての経験から、部下への指導が厳しすぎて、彼らからは厳格すぎる上司とみなされてしまうことがあるかもしれません。」
上記の返答は長所部分は良いですが、短所部分が悪い例です。短所に対する自己改善の意識や取り組みが見られません。また、最近の医療機器業界はどの企業もパワハラやモラハラの防止対策に力を入れており、適切な対人関係を築けなさそうな応募者はかなりの確率で不合格になりやすいです。
質問:その他
医療機器営業ならではの以下のような質問もされる可能性があります。
「デバイス販売と消耗品の販売、どちらが得意ですか?」
上記の質問の意図は、医療機器の企業によってデバイスと消耗品の販売担当が分かれていることがあります。どちらの販売に適性があるかを試すための質問です。
「体力に自身はありますか?」
上記の質問の意図は、担当するエリアが広範囲にわたる場合の長距離運転の可能性や、重量物である医療機器の運搬が可能かどうかを確認するためのものです。これは医療機器メーカーの面接でよく出る質問です。
「人前でプレゼンテーションをすることは苦手ではありませんか?」
上記の質問の意図は、医師を対象とした「医局説明会」と呼ばれるプレゼンテーションを行う自信があるかどうかを確認するためのものです。
「転勤は可能ですか?」
上記の質問の意図は、応募者の初任地を決定するための情報源を得るためのものです。特に、医療機器メーカーでは転勤の可能性があるため留意が必要です。
「英語を使った実務経験はありますか?」
上記の質問の意図は、英語でのコミュニケーションや資料読解が可能であるか確認するためのものです。特に、外資系の医療機器メーカーでは上司が外国籍であったり、海外本社と連絡を取り合うといった業務が営業職でも発生することがあります。
4. 応募者による質疑応答
一般的な採用面接では、企業からの質疑応答の後、応募者から企業に関する質問をする機会が設けられます。
質問内容に制限はありませんが、「なぜその質問をしたのか?」を理解することが重要であり、それが記録される可能性が高いため、知りたい情報を事前に整理し、必要最低限の質問を行うようにしましょう。
「○○さん(応募者)から何かご質問はありますか?」
良い例
「貴社の営業職における営業スタイルを教えていただけますか?」
上記の質問は非常に良い例です。この質問からは、候補者が具体的な営業方法について深く理解しようとする意欲が見て取れます。また、採用担当者にとって、応募者のこれまでの営業経験と企業の営業スタイルがどの程度合致するのかを見極める重要な情報源となります。
良い例
「もしも、内定を頂けた場合は、入社までに勉強しておくべき事はありますか?」
上記の質問は良い例です。面接が全体的に上手く進んでいる場合に効果的な質問です。この質問はあなたが内定を得たという前提で進行しており、その意欲と自信を示しています。これは、企業の面接官にとってプラスの印象を与えます。
良い例
「人事評価や昇給制度はどのようになっていますか?」
上記の質問は良い例です。上記の内容について質問することをためらう応募者も多いかもしれませんが、人事評価や昇給制度は企業と応募者のミスマッチを避けるために、入社までに理解しておきたいポイントです。企業が明確に返答できない場合には、人事評価や昇給制度がしっかり構築されていない可能性もあります。
良い例
「前職では基本給の他にインセンティブがありました。貴社ではいかがでしょうか?」
上記の質問は、外資系医療機器メーカーの面接では良い例です。営業ノルマの達成率に対してインセンティブを別途支払う外資系医療機器メーカーは多く存在します。そのような背景から、インセンティブの有無は応募者と企業との間の期待値のギャップを生み出す可能性があることを採用担当者は良く理解しています。ただし、インセンティブが無い国内企業の場合、上記の質問は敬遠される可能性もあるので注意が必要です。
悪い例
「厳しい営業ノルマが課されるのでしょうか?」
上記の質問はあまり好ましくない例です。質問の内容自体は、情報を得るために必要であるものの、その表現やトーンはネガティブな印象を与えるかねません。よりポジティブな表現としては、「営業パフォーマンスはどのように評価されますか?」という形で質問すると良いでしょう。
面接終了
応募者による質疑応答が終わると、面接担当者から以下のような確認があることもあります。
「可能な範囲で結構ですので、他の企業の選考状況を教えて下さい。」
「希望年収はいくらでしょうか?」
「採用となった際にはいつから入社可能ですか?」