この記事では医療機器業界で働く営業職の年収について解説します。
結論からお伝えすると、医療機器営業にはメーカーやディーラーといった違いがありますし、ターゲットとする病院規模や診療科によっても年収は大きく異なってきます。
年収に関しては労働条件として重要なポイントですし、転職先を考える上で、いまの自分の年齢に対してどれくらいの年収が妥当なのか検討する指標になります。
この記事の信頼性
この記事を書いている私は、外資系の医療機器メーカーでエリアマネージャーをしており、5人の部下の営業サポートをしながら、営業部の採用面接にも携わっています。
個人情報に配慮して詳細は省きますが、これまでに多くの履歴書を見る機会があり業界の年収事情についてはある程度把握しています。
✓この記事はこのような疑問を持つ読者に役立ちます
この記事の読者は医療機器業界に転職を検討しているものの、未経験でも採用されるか、転職後にうまくやっていけるか心配されている人が多いと思います。
未経験者でも医療機器営業に転職することは可能ですが、スムーズに転職活動をするには医療業界に強い転職サイトを活用した方が良いです。
体験談をもとに「医療機器営業向けのおすすめ転職サイト」という記事をまとめたので参考にして下さい。
医療機器営業の年代別の年収
下記のような条件ごとに、医療機器営業の年代別の年収を調べてみました。
- 日本企業の医療機器メーカー
- 外資系企業の医療機器メーカー
- 医療機器ディーラー(総合)
- 医療機器ディーラー(専門)
転職サイト数社、主要な医療機器メーカーとディーラー数社の求人を参考にしており、私の医療業界での経験も補足しながら、おおよその年収帯を表示しています。
条件\目安年収 | 20代 | 30代 | 40代 | 50代 | 管理職 |
日本企業の医療機器メーカー | 300~500 | 500~800 | 700~1200 | 1000~1500 | +100~200 |
外資系企業の医療機器メーカー | 400~600 | 600~1000 | 800~1500 | 1000~2000 | +200~400 |
医療機器ディーラー(総合) | 200~400 | 300~500 | 500~800 | 600~1000 | +100 |
医療機器ディーラー(専門) | 200~500 | 400~600 | 500~900 | 900~1200 | +100 |
業界や地域、企業の給与体系によって異なる場合がありますので、参考程度にして下さい。
とはいえ、各年代において提示された年収が下回る場合には条件が悪い可能性がありますので、転職など含めたキャリアアップを検討した方が良いと思います。
医療機器営業の年代別の年収(解説)
条件別に医療機器営業の年収を見ていくと、総じて医療機器メーカーの方が医療機器ディーラーよりも年収帯が高いことが分かりました。
年代別では20代では年収帯に大きな差は見られませんが、30代になると差が開き始めます。40代になると年収帯の差が歴然となります。
管理職になることで、年収に役職手当が追加されることが多いです。メーカーの方で高めに設定されている傾向です。
医療機器メーカー
医療機器メーカーは年収が高めに提示されることが多いですが、売上に対する責任や転勤などの可能性があることも考慮する必要があります。
特に外資系の医療機器メーカーでは、M&Aを通じた経営統合や組織の見直しで人員削減(リストラや希望退職制度)などが行われるリスクもありますので、日本企業の医療機器メーカーよりも年収は更に高い傾向です。
関連記事:医療機器メーカーで営業職をするメリットを解説
関連記事:医療機器メーカーで営業職をするデメリットを解説
医療機器ディーラー
医療機器ディーラーはメーカーに比べると年収帯が下がる傾向です。
しかし、医療機器ディーラーは地域密着型の企業が多くありますので、転勤の可能性を気にせず安定して働くことができます。
また、あらゆる商品を病院に提案する総合型の医療機器ディーラーよりも、循環器や呼吸器などの診療科を絞った専門型の医療機器ディーラーの方が年収が高めに提示されることが多いです。
参考記事:医療機器営業 代理店(ディーラー)になるメリット・デメリットを徹底解説!
医療機器営業の年収(事例紹介)
ここから医療機器営業の年収について、具体的な企業名と金額を提示していきます。
医療機器業界にいる人ならば99%知っている企業で、10年以上この業界にいて人事採用にも携わっている私から見ても真実性が高いと判断できる情報を採用して記載します。
なお、表記している金額は複数の転職サイトの情報、私の人事採用の経験をもとにしており、転職希望者の最終の年収、経験、資格、スキル、勤務地で大きく異なる可能性は十分にあり得ることをご留意下さい。
日本メドトロニック(外資系の医療機器メーカー)
年齢 | 年収 |
---|---|
20代 | 500〜700万円 |
30代 | 700〜900万円 |
40代 | 900〜1,100万円 |
50代 | 1,100〜1,300万円 |
ボストン・サイエンティフィック(外資系の医療機器メーカー)
年齢 | 平均年収 |
---|---|
20代 | 400~600万円 |
30代 | 500~800万円 |
40代 | 700~1,000万円 |
50代 | 800~1,100万円 |
日本光電(日本企業の医療機器メーカー)
年代 | 年収 |
---|---|
20代 | 500〜600万円 |
30代 | 700〜800万円 |
40代 | 900〜950万円 |
50代 | 1,000〜1,150万円 |
ムトウ(総合型の医療機器ディーラー)
年代 | 年収 |
---|---|
20代 | 300〜350万円 |
30代 | 350〜450万円 |
40代 | 450〜550万円 |
50代 | 550〜650万円 |
その他の情報源からも、医療機器営業の年収を調べてみました。
dodaの調査によると、2020年9月から2021年8月の1年間の医療機器メーカーの営業の平均年収は563万円でした。
JobQの記事によると、医療機器メーカー社員の平均年収は537万円でした。また、大手医療機器メーカーの中では、オリンパスの平均年収は922.4万円、HOYAの平均年収は798.4万円となっています。
これらの情報から、医療機器メーカーの営業職は、一般的に高収入を得る可能性がある職種であると言えます。しかし、これはあくまで平均的な数値であり、具体的な年収は上記の要素により大きく変動します。
医療機器営業として給料を上げる方法
医療機器営業として給料を上げるための方法をまとめると、以下のようのものがあります。
日系企業も外資系企業も入社後の基本給は緩やかな上昇にとどまることが多いです。そのため、効率的に給与アップを目指すには、労働者側で戦略を立てておくことも重要です。
私の場合には、外資系企業への転職によって年収が一気に上がり、その後に管理職に昇格して、35歳で基本給が800万円付近になりました。転勤などの手当を入れると920万円ほどの年収でした。
転職で解決できる可能性があること
給与交渉の重要性
転職時にしっかりと給与交渉を行うことは、将来的な収入に大きな影響を与えます。市場価値を理解し、自分のスキルや実績を正当に評価してもらうことが重要です。
転職時の年収は基本的に前職の総年収が考慮されがちですが、希望年収に関しては年収アップとなるような金額を記入して交渉すべきです。
昇給率の高い企業を選ぶ
毎年の昇給率が高い企業に転職することで、長期的に給与アップが見込めます。平均的には年2~3%の昇給率ですが、企業によってはそれ以上の昇給が期待できるところもあります。
外資系企業に転職する
外資系企業は、一般的に給与水準が高く、昇給やボーナスも多い傾向にあります。また、成果主義が強いため、優秀な営業担当は高い報酬を得やすいです。
インセンティブありの企業を選ぶ
基本給に加えて、業績に応じたインセンティブ(成果報酬)が支給される企業を選ぶことで、結果を出すたびに大幅な収入増が期待できます。
多くの外資系の医療機器メーカーで実施されており、インセンティブの上限がない場合には20代で1,000万円を超えるような年収を狙えることもあります。
一方で、インセンティブを全面に押し出す企業は成果主義の傾向が強くなり、なぜか離職率が高いなどの見過ごせないデメリットも存在します。
関連記事:医療機器営業のインセンティブ制度とは?
手当が充実している企業に転職する
住宅手当や通勤手当、資格手当など、手当が充実している企業に転職することで、基本給以外の部分で収入を上げることができます。
転職後に給与アップを目指す方法
管理職への昇格を目指す
転職後、管理職やリーダーシップの役割を目指すことで、給与をさらに引き上げることができます。役職に応じた昇給が期待でき、キャリアアップと共に収入も増える傾向があります。
このように、戦略的に転職を活用することで、医療機器営業としての給与を効率的に上げることが可能です。